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Pengzi de 雑記帳
中国に関する雑記、備忘や以前すんでいた北京・蘇州の思いでなどなど
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西湖より包頭まで 1 上海へ -01 揚子江口  後編


 午後5時過ぎようよう左舷に陸地が見えた。
低い防波堤で囲うてあるがこれを海塘と称する。
塘の中には葦が生えているらしい。
人家などは屋根だけしか見えない。

 ここで船は南岸に接近して通る。
圓圓沙とか鴨窩沙とか石頭沙とかいう砂堆が右舷に見える。
江の広いのとまたその砂洲の大規模なるに驚きつついよいよ呉淞口に入る。
浚渫がしてあるからここから黄埔江内は水深24フィートだというが、
一大湾曲をなした川であるから船脚は速くない。
江岸の葦の中に水牛の眠れるを見などしていると正面に仁丹の大きな広告が眼に入る。
やれやれ上海に来たと思う。

 午後6時、食堂で軽い食事が出る。まだ慌てないでもよいという。
しかしそろそろ旅装をトランクにつめ、上陸の用意をする。
やがて第8港区匯山埠頭につく。折から夕立気色でバラバラと降り出した。

 6時半になって上陸する。
この埠頭は郵船の桟橋で、隣に大阪商船の埠頭があり、対岸に日本海軍用地があり、
大阪商船の下手、第9港区には南満鉄道埠頭があり、
さらに上流の第5区呉淞江(蘇州河)の出口には郵船会社およびその碼頭がある。
日本人の経営せる碼頭の調子が馬鹿によいのでなんだか心丈夫な感がする。

 税関の検査などは旅館のものに任しておいて、
早速自動車に乗って西華徳路の豊陽館に入り、3階の日本室に通る。
この夜蚊帳吊らず一、二蚊の来るあるも安眠を妨げず、
熱気ことのほかはなはだしいので窓を開いたままで眠る。

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