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Pengzi de 雑記帳
中国に関する雑記、備忘や以前すんでいた北京・蘇州の思いでなどなど
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西湖より包頭まで 1 上海へ -02 上海 後編

 今日は水曜日とて公家花園(パブリックガーデン)には9時から音楽隊が出演するとの事、
所謂在留外人専用の公園で、蘇州河の黄埔に合する第五港区の西涯を占め
上海繁華街位する所だ、
晩餐をすますと直ぐに行って見る、
秋天の明月、江上にさえて一点の苦も無く、
地上は芝の中に聳えたるニセアカシア又はプラタナスの繁みのなかに、
椅子又はソファーによりかかれる西洋人、
殊に目立つのは洋装美人の綺羅を飾れるが男女手を組み合わせて行き交うありさまで、
中には態と画舫を江に浮かべて音楽に耳を傾くるあり、
庭内のカフェーも亦満庭の来客で盛んなことだ。
我等一行も亦亭に入ってサイダーを飲み冷茶をとる。
このときアイスチーと註文して通ぜず、コールドチーと言い直す、相顧みて苦笑。
空に月、地に音楽、黄埔は昼間の黄濁とさまかわりて水色燦然、一幅の油絵のようだ、
この地に住める西洋人の羽振りのよいのに驚いて、日本人を捜すと、
遠慮気味に木陰にきているものがあるが、和服で風采ひきたたず。

 10時帰宿浴後手紙などを書いていると近所から聞こゆる太鼓のひびき、
雑音に混じりて安来節声高らかに伝わる。
ここは文路とて日本人の居住地に近い処からの響きであるが、
公園の音楽をきいた耳で、異郷明月に対し、鄭声をきくあまりよい気持ちでない、
趣味の教養に関して日本人は外人よりも遥かに劣っていることを痛感せざるを得ない。


~>゜)~<蛇足>~~
パブリックガーデン: 現在の黄埔公園。
蘇州河: 呉淞江のことで、上海で黄浦江に合流。
黄埔:  原文では「黄浦」。黄埔が正と思われるので訂正。
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